August 30, 2008
Duchesse de Bourgogne
この部屋にたくさんのお客さんが来るのは、とっても珍しい。人が来ること自体珍しいのに、多くの人にかまってもらうのは初めてだから、ちょっととまどう。
管理人は、へたくそな料理をつくりながら、ベルギーの赤ビール「Duchesse de Bourgogne」の大瓶を開けている。このビールを開けてるときはいつも、管理人がご機嫌なのをわたしは知ってる。たぶん、嬉しいときに開ける習慣なんだろう。誰だって、何かそういう自分だけの習慣があったりする。
このビールの名前になってる「ブルゴーニュ女公(Duchesse de Bourgogne)」は、ヴァロワ家ブルゴーニュ公国最後の君主、マリー・ドゥ・ブルゴーニュ(Marie de Bourgougne)のこと。
「美しき姫君」と呼ばれ領民に愛された可憐な姫。乗馬や狩猟、スケートを愛した、おてんばな姫。
彼女は、25歳で馬から落ちて死んでしまうのだけれど、それから37年後、夫である「中世最後の騎士」マクシミリアン1世の心臓は、その最愛の妻と同じ墓に葬られることになる。