November 14, 2008

Královna Alice #0
(私家版「鏡の国のアリス」)

前章: 黒猫と地下室

もうなにもかも、黒い子ネコのせいだったのです。

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「ねえ、ごっこ遊びをしましょうよ」アリツェは黒猫を抱き上げて、小さくキスをしました。「夜通し、階下から小刻みな振動が絶え間なくきこえてくるでしょう。きっと誰かが、ウチの地下室から、火薬庫に続くトンネルを掘っているのよ」。

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「ねえ、子ネコちゃん」とアリツェは、押し黙った黒猫を正面に見すえて「そこにはきっとトンネル工事を見張っている男たちがいるの。明日、治安判事たちが乗り込んできて、男たちは一網打尽になるわ。やがて、カラスの群がる不吉な塔の中に投獄されて、拷問の末、処刑されるの。男たちはその運命に気づいてる。そうなってしまう前に

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あたしたちが地下室に行かなくちゃ。不吉な塔の運命を、黒猫にすりかえるのよ」。そう言うアリツェは黒猫を連れ、階段を降りていたのですが、ふりかえると、その一段一段は途方もなく高く、自分でもどうやってそこまで下ってきたのか、よくわかりませんでした。

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アリツェにわかることは、このまま地下室まで降りていくしかない、ということだけなのでした。

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Category: アリツェあるいはアナイス(アナイス), Královna Alice (私家版「鏡の国のアリス」)